改めて、今回、宝山さんが地域おこし協力隊として入ったプロジェクトのプランに関してお聞きしたいのですが。
「2015年の春から市役所のシティプロモーションという部署を担当しているんですけ大抵、シティプロモーションというと、地域のPR活動、セールスに近いようなものって思われるんですけど。
よく銀座とかで移住どうですかって催し物をやってたりしますが、このようなイベント開催だけではあまり意味がないと思うんですよね。
既存の街が疲弊しているのに、それをシティセールスしているだけでは魅力は感じてもらえない。
まずは市の強みとなる資源を新たな魅力として創り出し、それをアピールすることによって“人”、“モノ”、“金”、“情報(知恵)”を市内に流入させて、その資産を内部で活用可能に還流させていくことで最終的にいろんな意味で市を元気にしていくことが、我々のシティプロモーションの目的で。
今、“地方創生”って一生懸命言われているけれども、単に人が移り住んでくれれば解決するってものではなくて、地域でお金が回ってる仕組みができないと本当の意味での地方創生にはならないんじゃないかというのが私の持論でして。
助成制度なども一生懸命考えていますが、例えば、家賃の一部を補助するから是非塩尻へ来てくださいってスタンスよりも、塩尻で、この土地の資産、魅力の“種”を使って自分達でお金を生み出していきませんかって方が、より早く地方の底上げにつながるんじゃないかなと。
単に移住だけ促進しましょうって取り組みではなくて、ベンチャー企業や起業に興味がある方達と地方創生や地域活性化への意識と熱意の共有を図り、この地域にある“資源”を活用してビジネス展開していってもらうというプランを作ったんですね。」
そのひとつがシェアオフィス『Enrei』?
「そうです。今、塩尻でも空き家がどんどん増えてるんですけど。
それをどう活用していくかって事は、これから人口が減少していく中で、考えていかなければならないことで。
塩嶺エリアというバブル時期より少し前にゴルフを楽しむ避暑地として開発された場所があるんですけど、今、所有者の方々はご高齢になってしまってる。じゃあ同じ活用を次の世代がしてるかといったらしていない。
現状、不良資産化してしまっているわけですが、一方で環境はものすごくいい所。
それを活用しなければという視点から、従来の別荘地というアピールから今のニーズに合った形に変えていこうと、シェアオフィスという活用法を考えて。
地方で何かビジネスを展開したい、起業したいという人達を、お連れして、起案している事業を塩尻でやっていきませんかみたいな話ができる拠点にしたいという思いで。
それには、あそこに人がいて、いつでも誰でも訪ねて行けるという環境をまずは作っておかないとと。動かしていく人が必要だという話になって。
そこで宝山さんに一任することになりまして。
もともと、宝山さんとのつながりは、塩尻市振興公社といういわゆる第三セクター的な事業を行っているところに私が在籍していた際に、『子春日和』という少子化対策のプロジェクトを担当していて、その一環として都心から人を呼ぶ移住促進イベントを開催したことがありまして。
そのつながりで宝山さんに出会って。
東京の業務を塩尻に持ってきてくれている
ノーメイクという会社の紙谷さんや塩尻市の仕事をしていただいている
Lifebookという会社の細貝さん(次回【後編】でインタビュー記事を掲載)もそうです。彼らもすごく志を一緒にしてくれて、ビジネスとして展開するだけでなく、塩尻市の課題にちゃんとコミットしてくれていて。