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Interview

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スタートアップは地方でいかが? 長野県塩尻で起業をサポート ビジネス目線の地方創生【後編】

塩尻市地域おこし協力隊
宝山健太郎さん&仲間達

2015年11月より地域おこし協力隊として縁もゆかりも無い土地・塩尻へ飛び込んだ都会派ビジネスマン宝山健太郎さん。
“東京大好き!”な彼が、塩尻へと赴くに至った経緯をお伺いした【前編】に続き、【後編】では、今後、どのように取り組もうとしているのかについて、お聞きしました。

一番必要なのは
地域に“人(マンパワー)”を
送りこむこと

宝山さんのビジネス視点の地域おこし、面白そうですね!具体的には、どのように取り組もうとされているんですか?

「“人”、“モノ”、“金”が地域に集まれば、それって活性化として大成功だと思っていて。“金”は、実際、難しいけど、集める方法はいくらでもあって。

でもやっぱり一番重要なのって“人”、マンパワーだと思って。お金だけじゃ健全に持続可能な形じゃないなと思っているんですよ。

で、自分が選んだのは、地域に“人”を迎え入れること。

僕自身が地域に入って、実業家を誘致して、そこでお金を発生させて地元に落とすって方法が僕の中では堅実な思いで。

人を集めるにしても、お金持ちの会社が工場1個でかいのをどーんって作って5百人でも千人でも雇用を作るってのが手っ取り早いと思うんですけど、一企業に頼るだけの時代ではなくなっている。

一方で田舎にもインターネットが普及してきているんでノマド的な働き方もできるし。毎朝9時に会社に行って、18時に帰るって形じゃなくてできるんで。

リモートワークがあったり、テレワーク(在宅勤務)が普及し始めたりしているし。

個人が活躍する時代になってきている気がするんですよね。

地方に飛び出すには良い世の中になってきたなって思っています。

その流れの中での決断てのもありますね。」

水源地・塩尻に象徴される
はじまりの場所へ

「まず、とっかかりとして、古民家を借りて。この塩嶺地区の名にあやかり『Enrei』と名づけてシェアオフィスを作りました。そこに、僕たちのやり方に共感してくれる人間をガンガン誘致していくと。

それだけでもすごい面白いなと思うんですけど、塩尻のリソースを使って、ものづくりでもいいですし、紙谷さんみたいに都心から仕事を持ってくるみたいなのでもいいと思いますし、まずそういう人を集める。

これは2015年中を目標に、いろんなビジネスを始める人間を集めて、それなりのシナジーを生み出す古民家にしたいなっていうのが1つ。

その次のステップは全員がハッピーになる、要はお金が入って回っていくビジネスモデルを作り出し確立したい。

それを実現するために、塩尻で何かしたいっていう人と塩尻の人の間に入ってお互いの情報をすべて提供する。そういう存在になりたいんです。

何かやりたいっていった時に、ひとつひとつお互いが個別にやることってすごく手間がかかるし、お金がかかるし。途中で心が折れちゃうと思うんで。

↑シェアオフィス『Enrei』のロゴ。

↑ 『信州しおじり体感ツアー』一行が訪れた、シェアオフィス『Enrei』での初お披露目の様子。

「たまたま『Enrei』のある所は、ちょうど長野県のほぼ中央に位置する分水嶺と呼ばれる太平洋と日本海に注がれる河川の水系の境界となる源流の場所なんですね。

そこにあやかるってわけじゃないですが、ここは始まりの場所だよねって。

“人”も“モノ”も“場所”もスタートアップに必要なものを提供できる存在として『Enrei』から始まっていくストーリーが作れたら。そこを拠点にして広めていきたいと思ってるんですよね。」

将来的な展望は?

「直近でやろうとしていることは、長野県塩尻市に東京や他の県から人とお金を引っ張ってこようとしてるだけで、実は視点を一層上げてみるとパイの取り合いみたいなもんで、国内の小さな戦なんじゃないかなって思っています。

戦国武将むたいな(笑)。広い視野で見て、日本全体を裕福にできるかっていうと、到底不可能なんです。

なので海外展開をしたいです。

地元の眠っている資源を優良資産に切り替ええて、国内外問わず販売するってモデルを考えていて。そこに空き家の活用とクリエイター誘致を絡めて。

そのモデルが成功すれば“人”、“モノ”、“金”が全部呼び込めて、関わる全員がWin-Winになれるんじゃないかなって。

年内にシェアオフィス『Enrei』にフォーカスしたサイトとECサイトは用意する予定です。オープンしたら見てやってください(笑) 。

うまくいくかはこれからなんですが!」

皆も一緒に地方で
スタートアップしちゃおうよ!

なるほど、塩尻から成功事例を示せたら、東京で活躍している人達も、もっと地方にビジネスチャンスを見い出すようになるかもしれませんね。

「東京でいろんなサービスがスタートアップから生まれてますけど、首都圏で最近出来たサービスを地方でもっとコミュニティに特化したバージョンで出してみても面白いと思いますし。

東京でバリバリやっている人間が地方に行ったら、もっと変わると思うんですよね。

僕は東京に疲れて地方に癒しを求めて行くってパターンでは全くなくて、東京超好きですし。六本木でシャンパンとか(笑)。

でも、これから地域を活性化しようって人間はむしろ東京のライフスタイルの素晴らしさを知っているほうがいいと思うんです。

西麻布や表参道の高いお酒を経験しているからこそ、地域の素晴らしさがわかるみたいな(笑)。

あと、年齢的なことなのか、都会的な生活が日常化してきたので、割ともうサラリーマンやってて東京で遊びは割と味わったかなという部分があって。

億でも稼いでヒルズに住めるとかなったらまた違うでしょうけど(笑)。

時代的にもアウトドアスタイルの日常化など都市的な生活より自然を感じる生活のプライオリティが高くなっていると思いますし。 そういった意味でも地方はビジネスの機運が高まっていると思う。

今、東京のベンチャー企業のLifebookの細貝さんノーメイクの紙谷さん(インタビュー後半に登場します)など、同世代の仲間が塩尻の仕事に関わっているってこともすごい心強いっす。

同じ発想で一緒に進めていく味方がいれば様々な知恵が重なって良い案が、ポンポンと色んな動きになって出てくるんで。

そういう状況だから、地方だからって心細い感じはないですし。

なので面白いことをやりたいと思っている人こそ、攻めの意味で地域にどんどん来てほしい。

もっと自信持って言えるためにも、まずは今の取り組みを成功させたい。

地域によって資源は様々異なるとは思うのですが、成功事例として横展開もできると思っていて。

そうしたら僕はどこよりもまず地元の福井に持って帰りたいんですけど。」

新旧いいとこどりミックスで
リノベーションの時代

「うちらの世代が戦後ないがしろにしていた引き継ぐべきものと、戦後身につけたビジネスライクなスキルやグローバリズム的なマインドみたいのをがっちゃんこして、うちらの時代が引っ張ってくみたいな。

これからとこれまでを。そういうタイミングなんですかね。

リノベーションが流行ってるのもそういうことだと思ってて。

結局、新陳代謝みたいなイメージがすごいあるんですよね。

古き良きものを今風にさらに良くする。伝統工芸とかも多分そうですよね。

今のまんまでいいっていうのであれば、いいですけど、もったいないですよね。

やってる本人たちが辛い思いしてるってどこか違うと思うし。稼げなくて兼業になってしまっているとか、どうなんだろ。

古い家を持っていてもお金になんないから、新しく手を入れて売ってみよう!っていうのがリノベーションの基本だと思うんで。

代謝を促すような流れが必要なのかなと思いますけどね。

そういう時代なのかと。本当いいタイミングだなと思ってますね。今は。

そういう時代の大きな流れを作り出していきたいですね。

地方こそビジネスチャンスがあると思います!

2拠点生活だっていいじゃないですか。楽しいですよ。

田舎の楽しさと都会の楽しさ、両方味わうっていう選択肢ができる時代です。

僕は本気でやります。応援してください(笑) 。

偉そうなこと言ってさーせん!ありがとうございました!」 」

↑塩尻市の高ボッチ高原から眺める朝焼けの様子。

地方での起業を後押ししてくれるのは
東京でサポートしてくれる仲間達

遠く離れていても同じ思いの仲間がいれば、地方起業も難しいことはない!
宝山さんと共に塩尻を盛り上げる、仲間のお二方にも塩尻の仕事についてお聞きしました。

まずは、
株式会社Lifebook代表取締役、フラワーブランドPacos事業ディレクター
細貝征弘さん

Profile
大学時代にアジア・アフリカを中心に世界約30か国をボランティアしながら旅をする。
また、地域活性化を目的とした特定非営利活動法人G-netの理事・コーディネーターとして関わる。
株式会社リクルート事業開発で新規事業立ち上げを経て、2011年株式会社Lifebook創業。
フラワーブランドPacosの事業ディレクターとしても活動。
2015年、世界経済フォーラムが世界中から選出した20代~30代の若手リーダー“Global shaper”に選出される。

「塩尻市振興公社が行っている『KADO(家働)』(在宅勤務支援)および『子春日和』(未就学児応援サロン)のコンサルティングと、他地域から塩尻でビジネスをしたい人の創業支援のコーディネートを行っています。

2013年に塩尻市振興公社が主催する田植え体験イベントで初めて塩尻市に行きました。それまでは塩尻市がどこにあるのかも知りませんでした(笑)。

イベントに参加した理由も、首都圏に近くの温泉があるエリアで二拠点居住を考えていた時、気にかけてくれていた知人が塩尻でイベントがあると誘ってくれて。

当初は、首都圏から2時間半もかかるので二拠点での難しいかなと思っていました。

しかしイベントでの体験をきっかけに何回か塩尻市に伺うことになり。

その中で塩尻の方々の人柄や地元の様々な魅力に触れ、可能性と面白さを感じ、東京と塩尻での二拠点生活を考え始めました。

また、大学時代に地域のNPOの仕事をやっていた経験や、自分で会社をやっている関係から、お仕事でも関わせていただくようになりました。

自分は何か仕事を始めるときに「誰とやるのか?」を大事にするのですが、清澤さん【前編】インタビューに登場)がいたことはとても大きかったと思います。

良い意味で行政っぽくない行動力があり、一方で地元に意義のあることをしたいという行政マインドがある方で、これから地域を動かしていくにはこういう方が重要だと心から思います。あと、塩尻は本当にオープンマインドな方が多いので、それが街の印象になっていると思います。

宝山さんのような外部の人間が入れば、より面白い取り組みが活発になってくると思います。塩尻を一緒に盛り上げてくれる仲間、募集中です!」
そしてお二人目は、

株式会社ノーメイク 代表取締役社長
紙谷雄介さん

Profile
2009年、株式会社リクルート入社、広告を中心としたソリューションセールスを経験。月間MVP、半期MVP等受賞多数、リクルート全トップ10に入賞するプロジェクトメンバーとして活躍。
2014年、株式会社ノーメイク 創業。総合営業支援事業、ソーシャル・マーケティング事業を展開。

「塩尻には“女性(特に主婦)の在宅就労支援事業”のパートナーとして関わっています。

具体的には、弊社の主婦の労働力を活かしたセールス支援事業において
“テレマーケティング”や“テレアポ獲得”を塩尻の主婦の皆様にお願いしています。

うちの会社は“ノーメイク(すっぴん・ありのまま)で働ける仕事と環境を提供することで埋もれている才能を社会へ還元し、世の中の生産性向上に貢献する”というミッションを元に事業を展開中なのですが、この“埋もれている才能(働きたくても働けない)”が実は地方にこそ多く存在し、そこに解決すべき課題があることを塩尻市との取り組みの中から知ることができました。

その問題の理由はいくつかあるのですが、まず1つ目にそもそも仕事量が少ないこと。2つ目は自分の条件にあった仕事が無いことが主な理由です。

それを“都市部の仕事”を“地方”に持ってきて“在宅”でやっていただくことで、解決していこうという点で塩尻の方と意見が合致し、協業させていただくことになりました。

きっかけは都内で展開していた事業の案件が増えていくにしたがって、人手が不足し、都心で主婦の方に効率的にアプローチする手段が見つからずにいたところ塩尻市市役所の清澤さんに出会い。

塩尻市と弊社のニーズがうまくマッチするし、同じビジョンで働けると実感しまして。

塩尻の方、特に清澤さんは、“地域創生”に対する本気度とそれを体現する実行力、スピード感がすごくて。

ベンチャー企業の僕らとしては正直なところ、行政の方との協業に関して実現性に、意識の温度差のようなものを感じることが多かったのですが。

清澤さんにお会いし実際に試験的に取り組みをスタートしてみたら、都内の企業でもないぐらいの速さと熱量で物事が進んでいって。

例えば試験導入が決まって、案件準備を進める中で、1週間で10人の営業経験のある主婦の方を集めて欲しいという要望に、仕組みも整ってないタイトなスケジュールの中、即、応えてくださり。」

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↑塩尻の主婦を対象に行われたテレアポ講習会の様子。

「我々も、もっと何か役に立てる部分が無いかとより考えるようになり、とても良いサイクルが生まれてきていると思います。

清澤さんはじめ、多くの方と仕事をさせていただいておりますが遠隔地での業務がこれほどスムーズに進むのは、塩尻の方の人柄による部分が大きいと感じています。

特に弊社の事業は在宅での就労なので、責任感の薄い仕事になってしまう方が時にはいらっしゃるのですが、塩尻では現状、ほぼゼロです。

また塩尻の取り組みとして、現場で働かれている方、一人ひとりまでその意識が浸透しており仕事への熱意のレベルが全員同一水準である点には、パートナーとして大きな魅力を感じます。

現在は“都内の仕事”を“地方”へという流れで取り組んでいますが塩尻で培った人材やスキームをベースとして、今後は“地方の魅力”を“都内”へという逆の流れをこのセールス支援事業の枠組みの延長で取り組んでいくことを考えています。

街が一丸となって、住んでいる人たち自らが自分たちの良さを売り込んでいくことで経済が回るような仕組みにしていければ、面白いのかなと思っています。

そういった意味で僕ら都心の人間と地元の人達をつなぐ宝山さんのような人間が現地に入ると、これからいっそう面白い展開が生まれるのではないかと期待しています。」

地元の方の熱意と深い理解、そして、支えあえる仲間のコミュニティがあれば地方での起業も夢じゃない!
豊かな自然に囲まれた古民家シェアオフィスでスタートアップなんてのも、これからの時代に、アリなのかもしれません。
“本当は新しいビジネス始めたいんだけど、東京じゃちょっと無理だよな~”なんて思っているあなた!塩尻市、一度チェックしてみてはいかがでしょう?
シェアオフィス『Enrei』の詳細は、2016年1月に公式サイトがオープンする予定とのこと。そちらをご覧いただけましたら。また改めて『MeLike』記事でも紹介させていただきます!お楽しみに!
Profile

塩尻市地域おこし協力隊

宝山健太郎さん&仲間達

塩尻市地域おこし協力隊

宝山健太郎さん&仲間達

1985年生まれ。福井県福井市出身。大学卒業後、アパレルメーカー株式会社レナウンに入社、営業を担当。その後、ベンチャー企業に転職。事業部長として法人向けECを担当。2015年11月より地域おこし協力隊として塩尻市役所に就任。地方創生を創業支援の側面から後押しする活動を開始。