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Interview

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千葉九十九里の地で実践!生きていく術として 暮らしに活かす“編集力”【前編】

『OUTLAND WEB MAGAZINE』編集長、映像製作レーベル『Wild Lemon』代表
山根晋さん

当Webマガ担当、編集ひとりが、メディアを立ち上げるにあたり最も影響を受けた人物の一人、Webマガジン『OUTLAND WEB MAGAZINE』編集長にして、映像製作レーベル『WILD LEMON』代表、山根晋さん。
彼は、『OUTLAND WEB MAGAZINE』のWebディレクション、製作、取材、撮影、執筆、編集…すべてをワンマンオペレーション、つまり一人でこなす、職人気質な編集者(にして映像クリエイター。映像もワンオペで製作)!
すごいのは仕事スタイルだけでなく、千葉県、外房九十九里をフィールドとして、地の利、人のつながりを最大限に活かして、この場所でなければできない魅力的な活動をされていること。創造的ローカル暮らしを実践、紹介、提案するばかりでなく、Webメディアの枠に収まらず、立体的かつ複合的な展開を果敢に楽しそうに仕掛けています。
そんな編集ひとりが師と仰ぐ(&フラットにくだらないトークもしちゃう)山根さんに『OUTLAND WEB MAGAZINE』立ち上げのお話を伺いながら、“編集”という仕事への熱い思いついて聞いてみました。

子どもの頃から編集志向

このインタビューを読む前に、まずはWebマガジン『OUTLAND』をご覧いただけたましたら。

outland topスタイリッシュなデザイン、写真。じっくり読ませる丁寧に取材された人物インタビュー記事。はたまたWebから派生した立体的なイベントの数々。太陽光発電について学びつつ発電した電気で音響を奏でるクラブイベント『Solar Disco Skate』、林業体験ができるワークショップ、社会的トピックについて有志が集い語りあう『大人の学校』、体験型音楽祭 山のおんぶ 』でのポップアップ映画館『KIZUKI THEATER(キヅキシアター) 』などなど。都会的なスタイリッシュさと、地域に密着した地に足着いた感が見事にミックスして、周辺の面白い人そして地域外の人も巻き込みながら、着実な歩みを続ける千葉九十九里オリジナルスタイルのメディア。

形骸化したメディアが多い中、見ててワクワクするし、自分も参加したくなってしまう。そんな魅力あるOUTLAND WEB MAGAZINE』は、どのように作られたのでしょうか?

↑2014年9月13日に開催されたソーラー発電を学びながらのローラースケート&ディスコ、Solar Disco Skateの模様。

林業体験ができるワークショップの募集要項。

↑『大人の学校』1間目の模様。『太陽光発電について知る』。

僕は子供の頃から編集的思考が多分にあったと思うんですね。

端と端のモノのをくっつけて新しい見え方にするのが子供の時からすごい好きで。一時期コラージュ作品なんか作ったりしてたんですけど。

時代感を自分のセンサーでキャッチして、の時代の流れがどう動いてるか常に意識してるんですがその思考って多分、編集者思考なんじゃないかなと。

若い頃はヒップホップのトラック(曲)作ってましたし、イベントもやってましたし、DJもやってましたし。ヒップホップも編集だなと思ってて。サンプリングだし、あの土足感っていうか、色んなレコードから音の素材を引っ張ってきて、それをひとつにまとめて曲にしちゃうっていうのはすごいエネルギーだし、ルール破りだし、新しいし。当時そう言う感覚が面白いと思ってたんですよね。

でもやっぱり、会社員になって、社会の基準っていうものを何年間か経験して、それに対してどう思うかなって自分を相対的に作り上げていったというか。

自分は、やっぱりこういう方がいいなってバランス良く判断していった結果、例えば、“Webマガジンを編集したい”とか、“家を作れるスキルを身につけたい”という一つ一つの思いにたどり着いたっていう感じで。だから多分、編集的なんだと思います。考え方とか。

関心がある事、例えば音楽をやるってのと、生活の周りの物作れるようになりたいって一見違う事かもしれないけど、根本的な価値観は同じみたいな。

スーパー編集者
後藤繁雄さんとの出会い

それで、自身のWebメディア『OUTLAND』を立ち上げることに?

OUTLAND WEB MAGAZINE』を始める一番のきっかけになったのは、5年前に後藤繁雄さんが主催する『スーパースクール』っていう編集講座に通ったことがあって。

以前、後藤さんの本を読んだときに、自分が感覚的に思ってるモノを全部具体的な言葉にしてる人だなと思って。

正に自分の興味をそそるやりたいことが書いてあって鳥肌もんで。

その後藤さんの講義、僕はすげえくらっちゃって。

戦略的編集術っていう講義だったんですけど。戦略的に編集を使うって事を、酸いも甘いも知ってる編集の達人から色々教えてもらって

後藤さんは、単に写真とか文章とかだけでなく、いろんな物いろんなレイアーで組み合わせて編集してるんですよ。

感情的、感覚的なをダイナミックに入れてくっていうか。編集はいろんな方向から考えて、それを組み立てるところがすごい面白いなって思って。」
「具体的には、編集って職業能力じゃなくて術”だって感じたことですね。

身体化することが大事だといつも後藤さんはおっしゃっていて。

そういう風に編集という行為を考えた時に、俺は編集者じゃんとなぜか根拠のない自信が湧いてきたんですよね。

今まで自分の興味はそのほとんどが編集術を使おうとすることに面白みを感じていたんだなと納得出来て。

だから職業のワークスキルとしての編集者じゃなくて、ライフスキルとしての編集術。そういうのをもっと磨きたいし、仕事に活かしたいと思って。

その講座を受けて、自分のメディアを作ることがテンション上がるし、仕事として選ぼうと、思うようになって。自分なりの“編集”というものを試してみたいなと。」

これからは、
好きなことを仕事にするのが
大前提

 「サラリーマンをやって、かなり向いてないと実感してたので。サラリーマンだと社会と自分の間に会社というのが存在しますよね。それは社会的信用ということで良く作用することも多いと思うけど、自分としてはそれが歯痒かった。

自分の中で“こういう生き方がいい”というのを実践したくなった。そっちの方が楽しいと思って。楽しいっていうか。好きな事を仕事にするのがもう大前提な気がして。これからは。

社会的な責任の取り方としても、そこが一番重要だと思うんですよね。これは仕事だから、とか家族のためにということに、一番大事な自分の気持ちが隠れていてはいけない気がします。

そうう環境に身を置きたいと思ったのがすごいありますね。

だから自分のしょぼさも感じるし、自分はこれしか出来ないんだなというのも感じるし。

でもそれだからこそ、スタートを切れたというか。

JWに刺激されて

大学の時、ZINE(手作りの小冊子)とか作ってたし、本を作る事にもすごい興味あったし。

雑誌は死ぬほど好きなんで。今でも使ってる金額が一番多いのはカメラとかよりも、本と雑誌。奥さんに狂ってるって言われるくらい。

どの雑誌とか、どういった企画とかでなく、編集をチェックする。

内容っていうよりも編集者の取り組み方に思いをはせると、こういうやり方もありなのねと。だから同業者の仕事拝見で買うんですよね。

最近、面白いなと思ってるのが、サンフランシスコで木工やったり、造形作ったりしてるジェイ・ネルソンって人がいて。絵とか平面の作品も作るんですけど、3D(立体作品)のやつが多くて、バンを改装して、超かっこいい、多角形の。今パタゴニアとかもやってたりとか。

そういうのを前々からいいなって思ってて

そしたら『Studio Journal knockという素敵な雑誌でインタビューされてるんですよ。

そういう(自分が早くからチェックしていたのに他のメディアに先に取り上げられてしまった)のジェラシー感はハンパないっすね。

俺本屋で地団駄踏んでますもん。“おわー!!!”って。本当悔しすぎてお腹痛くなる時あって、“くっそーーーーー!!!”って(笑)。

そういう分かり易いこともそうですし、単純に特集の企画の切り口だったりとか、デザインとかも含めて編集者の才能が垣間見えた時はもうね。。

JWって言ってて。ジェラシーワーク(笑)。

これJWだわー!”っていうのを一人で(笑)。そんな本に出会った時は絶対買います。賞賛の意味も込めて、コレ絶対買わせて頂きます。写真1枚が良ければそれも買わせていただきますっていくと、家が本で溢れちゃうんですけど。」

なるほど。私、インタビューさせていただくのすごく緊張してきました…(笑)!
そうすると見て分かるじゃないですか。ああ相当手抜いてるとか、これはすごいなとか。熱量みたいなもの。

その熱量を生む為には好きな事をやって、やりたい事をやるって言うのが大前提で。

熱量産めないものは世の中に出せないと思うんですよね。

だから熱量出せないものを世の中に出しちゃう事ほど不幸な事はないんじゃないかなと

だから好きな事やりたい事をやるのは大前提でそっからマネタイズどうしてこうとか、生活どうしようとか。まずは“やりたいこと”を自分の腹の中心に置いた上で現実的なバランスを取ることがとても重要な気がしますね。そんなのは手練の先輩方は大前提だと思うんですが、まだまだ一般的にはそういう雰囲気は少ないかなと思うんです。

OUTLAND WEB MAGAZINE』立ち上げ時に思ったのはデザインとか写真のクオリティとか雰囲気とかある程度のレベルまで持っていかないと、読まれる物も読まれないなと。すごい一般の人っていうか、田舎に住む事に興味ない人にも届けないと意味ないなと思ってたので

だから同様の媒体はチェックして、このポイントはこういう風に取り入れようとか、スタートの時点から考えました。いろんな物のコラージュっていうか。いろんなモノをミックスして良いなと思う物を採用していった感じですね

参考にしたのはWebよりは雑誌だったり。

例えば、雑誌『キンフォーク』は、日本版が出る前に、渋谷タワレコの改装前の8階に本屋があった時に、創刊号を見つけて。写真もずば抜けてたし、うわ、これは並のクオリティレベルじゃねえと思って。

ちょっとやべえの来たなと思って。個人的にすごい調べたんですよ。

そうしたら編集者が同い年だって。で、“うーわー”って思ったのはあります。まさにJWでした

今はメジャーになりすぎて、キンフォークフォローの雑誌が多いじゃないですか。

レイアウトとかまんまじゃんっていう日本のムックとかありますよね。

あれはちょっとうーんと思うけど。作り手側の良いも悪いも意図とか出来上がる過程というのは読み手に伝わるものが必ずあると思うんですよね。表面的なことだけでなく。

単に今これ系が売れてるからこういう風にしようとしているのか。それとも、その媒体がどういうその先を目指しているのか。それって雰囲気に出ると思うんすよ。

読者数や発行部数やPVやらと数だけが媒体の価値と評価されるのは余りにも短絡的な気がします。」

『OUTLAND』から派生した仕事が
本業のひとつに

数年前よりも、きちんと熱量あってやってる人の方が評価されるようになってきてますよね。

そうなんです。

だからSNSはそう言った意味ではすごい良いツールだと思うし、僕もそれはやんなきゃいけない事だと思うし、それを続けてって、次の段階にはどういう風に上手く見せて行けば人に伝わるのかなと考えるじゃないですか。

それで、『OUTLAND WEB MAGAZINE』を作るために、写真、動画を撮り始めるようにになった?

そうですね。

そうしたら動画の編集っていうか、映像の面白さにはまっちゃって。

なんか、これでいけんべ!と思って(笑)!

Wild Lemon』という映像製作の事業も立ち上げ、本業の一つになっています。



↑山根さんが製作した『KIZUKI THEATER(キヅキシアター)』の告知CM動画。
OUTLAND WEB MAGAZINE』の編集と同時に大工もやられていましたよね?メディア作るお仕事と、大工のお仕事はまた

いや、その中の一つなんですけど。丸一年やってたんですよ。

単純に面白そうだったっていうのももちろんありますし、大工できる編集者っていないよな、それは結構面白いなって思って。

世間的にはDIYとかセルフリノベーションの流れがありますが。僕が働かせて頂いた親方さんは田舎の大工さんだったんで、一人暮らしのおばあちゃん家のトイレだけリフォームするとか、そういうのもすごい面白いなって思ったし、田舎の現状ってこうなんだって思ったし。単純に技術だけでなく色々な学びがありましたね。

そしたら介護施設のウッドデッキ作って欲しいみたいな話が最近あって。一人でやるんですよ。

奥様のお店の広いウッドデッキ一人で作られたんですよね?

そうなんです。多分あれくらいのウッドデッキなら一人で余裕に作れますね。

一週間位かな作ったの。やれるイメージがあればあとは根気と多少の技術です笑)

 

 

 
OUTLAND WEB MAGAZINE』を軸として幅広いユニークな編集活動を展開してきた山根さん。

“編集”っていうと出版とか業界の一部の人のもののように思いがちですが、日常に“編集”的発想を持ち込むと普段の生活がもっと面白くなるかもしれません。

私(編集ひとり)が思うに、編集って、DJみたいなものなのかなと。DJって楽器を演奏したり、作曲したりはできないけど(最近、出来るDJの方もいらっしゃいますが)、既にある楽曲を、曲順とか創造的に再構成することで一つのミックスというクリエーションを作り出して、それが元の楽曲以上にエネルギーを放ったりする。編集者が、作家みたいに文章書けたり、写真家みたいに写真撮れたり、デザイナーみたいにデザインできたりするわけじゃないけど、各々の才能をミックスして構成することで一つの素晴らしい作品を創り出すのと同じように。

だからDJ気分で、ジャンルにこだわらず日常のあるものと、あるものを面白く立体的に複合的に融合すると、予想以上に面白いものが生まれるかもしれない。

そんなことを実感させてくれる山根さんの精力的な取り組みの数々。

次回は、『OUTLAND WEB MAGAZINE』をスタートして1年を経て、山根さんが今、考えいるこれからの取り組みについてお聞きします。
Profile

『OUTLAND WEB MAGAZINE』編集長、映像製作レーベル『Wild Lemon』代表

山根晋さん

『OUTLAND WEB MAGAZINE』編集長、映像製作レーベル『Wild Lemon』代表

山根晋さん

1985年生まれ。 2009年、大学卒業後、広告代理店、出版社にて営業と企画を経験、311以降の価値観の変化の中でこれからは地方から面白いヒト・モノ・コトが生まれてくると確信し、2012年に地域活性化マガジン『TURNS』の立ち上げに参加。 その年、千葉県九十九里町に移住し面白いコミニティを作るべく様々な企画やイベントを行う。生活を自分の手で作りあげるスキルを身につけたいとの思いから1年間千葉県山武市にて大工修行をし、その間に千葉県の太平洋側のエリアをフィールド した創造的ローカルライフを実践、紹介、提案するウェブマガジン『OUTLAND WEB MAGAZINE』を創刊し、企画、取材、撮影、編集を全て独力で運営を開始する。同時に映像も独学で体得し、2015年1月1日に映像の個人レーベル『WILD LEMON』をスタートさせる。現在は映像制作をメインとしながらも『OUTLAND WEB MAGAZINE』の運営や企業団体個人のホームページ制作や広報企画立案などで活動中。ヒトモノコトを編集していくことに非常に興味がある。