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Interview

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“波乗り起業家”が
ゴールドコーストで実践する
新時代の企業経営学【後編】

ELCA HOUSE PTY LTD CEO/エグゼクティブ・プロデューサー
石川英治さん

◇ELCA HOUSE PTY LTD CEO/エグゼクティブ・プロデューサー石川英治さんのインタビュー【後編】です。

サーフィンは人生と一緒 
海から得たインスピレーションを
仕事という場に活かす

ワクワクする事をやってたら面白い仲間が自然に集まってきて。みんなが自分事として楽しく仕事に没頭して、技術的なプロを超えたプロフェッショナルになっていく。そういう職場を作り出す事ってなかなか難しいと思うのですが、実現するために大切な事ってなんですか?


 


「心ですね。全ては心から生まれるんです。そこが一番コアにある。

うちの会社の社訓は“全てに愛を”。客にももちろん愛をだけど、仲間にも同じように愛を持たなきゃダメ。あと食材にもね。

だから毎日終礼の時に今日の食材になってくれた生き物と野菜に感謝の意を込めて黙祷。黙祷して今日も素晴らしい日でしたありがとう。明日も素晴らしい日です。ありがとうって言って毎日終わります。全店舗。

結局、お店が繁盛してます、儲かってます、で、それって誰のおかげで?

食材と生き物のおかげじゃないですか。っていうのを絶対忘れちゃダメだよって。」




その考えに至ったきっかけは?




「自分が一度、どん底にいったからじゃないですか。

いわゆるやんちゃな時、殺されそうになってるんですよ。

子供同士の小競り合いが行きすぎて。

その時に生きるとか死ぬとかすごい考えて。

それ以来プライドや意地で同じ人間同士で争う事はしないと心に決めました。

それからサーフィンもその思いにつながっています。

自然に触れ合ってゴミを捨てなくなったんですよ。

生き物の気持ちを感じるようになって。でも今たった1人でその大切さを伝えようと思っても簡単じゃないし、そんな力もないし。

今、出来る事は、その現状を無駄にしないっていうか。生き物の命を尊重するっていう事を感じ始めた。

それを全て教えてくれたのは、海。自然ですね。」

サーフィンから本当に大きな影響を受けているんですね。




「そうですね。だから僕、今肩書きを波乗り起業家にしてるんですよ。

それは海から得たインスピレーションを仕事という場に活かして、新しい働き方っていうのを啓蒙したいなって。

サーフィンって一緒なんですよ、人生と。


世界で一番いい波が割れるって場所は確かにめっちゃいい波が割れるけど、めっちゃ人が来る。結局乗れるのはほんの一握り。

実は、その場所を外したら、その日一番のいい波に乗れたりする。

それを仕事に例えるなら地方に可能性があるのと似ている。」




東京、ニューヨークは金回りはいいけど競い合いが激しくてストレスフルで…みたいな。




「そう。奪い合いでしかも一握りの人間しか利益を得られない。

しかも、みんな取ってラッキー、取られて悔しいのエネルギーが渦巻いてる。

そこが好きな人はそこに行けばいいし。多分選択の時代だからこれからは。

競い合うのが好きな人は競い合えばいいし、競いたくない人は競わないでいい場所を選べばいい。

そんな感じで実社会に活きるインスピレーションを海の世界からとても学んでいます。」




地方の話が出ましたが、今度、日本の宮崎にもお店を出されるとか?

その目的は?


 


「一番の目的は日本に受け皿を作りたいんです。

スタッフの親御さんは日本に住んでいて、これから数年後、具合が悪くなるとか、もしくは片方がお亡くなりになるとか、いろんなことが起こる事が想像されるじゃないですか。親御さんに何かあって、本人はここ住みたくても戻らざるを得ない状況になった時に、それを止めたくないんですよ。その時に、もしこの会社に日本の支部がなかったら変な話もう日本で生きていけないんですよ。

うちで仕事すると日本の会社のシステムと違い過ぎて馴染めないんですよ。

5年くらいオーストラリアにいるだけでも浮いちゃうのに、さらに特殊な会社にいるから社会復帰出来ない。」




日本が特殊なのかもしれないですけどね。




「逆にね。で、その時にやっぱり経営者、トップとして責任があるなと思って。じゃあ仮に帰らなければいけない時に日本に同じ箱があれば。籍を移動するだけ。

カルチャーはそのまま。要は日本の受け皿。

4年も5年もこの会社の発展のために尽くしてくれた仲間を親が具合悪くなったからってそのまま帰国させるっていうのは無責任かなって。だったら日本に会社を作って、彼らが日本でも親の面倒見ながら生き生きと安心して働ける場所を作りたいと思って。

僕もかつて日本と海外を行ったり来たりしてたから分かるんです。こっちから日本に帰った時のギャップっていうか。すごい苦しんだ。

だから日本各地にそういう場所を作って。親のことが一段落したら。またこっちに戻ることも出来るし。それが一番の目的です。」




日本支店が日本の仕事に対する考え方を変えていきそうですね。




「それもあると思います。日本の宮崎とか地方の子は、“こうでなきゃ”、“こうであるべきだ”っていうのが強くて、その固定概念を壊して日本の若い子たちをオーストラリアに呼ぶきっかけの入り口にしたいですね。」

一番の失敗は
自分がやりたいって思った事を
やらないこと

これから海外に行きたいと思ってるけど日本にくすぶりを感じている人に向けて何かアドバイスがあれば。




「多分躊躇してる理由の一つに失敗したくないんだと思うんですよね。

海外でチャレンジしたい、でも失敗が怖い。

あと、死生観がないんじゃないですか?

自分がいつか死ぬってことをまだ理解してないんじゃないかな。

でも僕の意見は、人生っていう一度しかないこの瞬間に自分がやりたいって思った事を体感しない事こそが一番の失敗だと思うんですよ。

失敗したくないのに失敗を自分で選択してるんですよ。

それこそが失敗なんですよ。それを死ぬ寸前に気づくんですよ。

だからもっと明日死ぬかもって事を意識して生きるべきだと思います。」

「僕はうちの家族を毎日たくさんハグしますし、言葉も掛け合う。

だって、行ってきますって言って帰って来れるかわからない。

それを約束されてないからこそ、今日この一瞬一瞬を大事にしたいんですよ。

あっという間に会えなくなるんで人生は。

それをわかってるから。

だから無駄にしたくない。自分の時間もチャンスも思いも。

だから失敗して欲しくない。一番の失敗は自分がやりたいって思った事をやらないこと。それに気づけばチャレンジして失敗してもそれは失敗じゃない。チャレンジしたってことが成功になるから。

本当それを知ってもらいたいです。

もっともっとチャレンジしてもらいたいですね。」

英語なんてただのスキル
目的がしっかりあれば
思いは相手に伝わる

海外で何かやろうとする時に言葉の壁がありますが、石川さんはどうやって語学力を磨いたんですか?




「英語学習一回もしてないんすよ(笑)。

みんな英語を勉強するんですけど、英語勉強して何するのって言った時に何も言えなかったりする。

目的が無いのを英語を勉強してその瞬間ごまかしてる。

みんな何かが欲しいんですよ。僕はそこがしっかりあるから。

まあ語学力なんてなくても良いです。結局なくても4つお店を作って、ローカルのスタッフと仕事して、可能なんですよ。

英語なんてただのスキル、ただの道具じゃないですか。」




何がやりたいかが大事?




「そうです。大事。それがあれば英語なんて超えちゃうんで。分かんなかったら相手に何回でも聞きますもん。『ごめん、エイジなんだけどもう一回説明して』って。

あんまりにもこっちが何度も質問すれば、そのうち相手が日本語話せる友達を連れてきますよ。」




やりたいことの情熱が相手に伝わって…。




「そうそう、例えば電話して2回目で相手はだいたい怒るんですよ。ファックとか言われて切られる(笑)。そっから5、6回かけるんですよ。そうすると『お前は何をやりたいんだ?』って興味を持ってくれるんです。『なんでそんなに電話してくるんだ?』って。

こいつ本当に困ってるんだなって心が伝わるんですよ。その時にそいつは本気になって動いてくれる。他力本願。本気の他力本願ですよ(笑)。」

出会った瞬間に
本音を言い合えるのが
これからの豊かな生き方

石川さんのお考えになる“これからの豊かな暮らし、理想の暮らし”とは?




「これからの生き方はズバリ本音を言い合うこと。それが価値のある生き方だと。本音を言わないから時間を無駄にするんですよ。

これからは出会った瞬間に本音を言い合って、合うか合わないかをすぐ確かめ合わなければいけないんですよ。

それが価値ある理想の生き方。新しい生き方。

うちの会社も絶対的なルールで本音を言う。

黙ってふてくされた態度とってると速攻怒られる。

口でちゃんと言って思っている事をきちんと伝えなさいってルールなんです。

本当に相手の事を思ってたら言うべきだし。

現状に不満を抱きながら無理して働いてる人いるじゃないですか。なんでそんな事を1年も2年も続けるのって。

例えばそういうスタッフがいたらうちは辞めさせるんですよ。実は。

辞めさせる理由ってのは、もし単なる作業員として雇っていたら君が幸せになるのがもっと遠くになっちゃうから。だからすぐ辞めなさいと。違うところを探して自分が合うところを1日でも早く見つけて色んな経験を積めば、もっと輝けるステージがある。

その子は苦しんでるけど生きてくしかないって理由で嫌な仕事を続けるんですよ。」




人それぞれ輝ける場所がある?




「絶対あります。あるんだから固定概念捨てて色んなことチャレンジしたら見つかるから。見つからなかったらどんどん辞めていいんです。」




海外だとジョブホッピングで経験積んだ人の方が評価される中、日本だとデメリットになったりしますよね。特に大きい会社だと厳しかったりしますよね?




「だったら大きい企業やめれば良いんですよ。中小企業とか、スタートアップの会社を見つければ良いんじゃないですか?

それも気持ちじゃないですか。

チャレンジして就職して、いきなり会社が潰れる可能性もあるんですよ。

僕だって、オーストラリアでプロを目指して、プロサーファーからこういうチャレンジをして、例え失敗をしても、次はこういうチャレンジをしようと思ってるって胸張って発表しようと思ってる。それで新しいチャンスをつかもうと思ってます。」

↑地元の人で賑わう『KONOHA』。

↑ランチタイム終了間際でもこの賑わいの『IZABU Japanese Food』。

"伝" DEN KUSHIKATSU


                         ↑オープン直後から地元の人がかけつけ、連日満員の『"伝" DEN KUSHIKATSU』。


 


さっきも出ましたが失敗は恥ずかしいことじゃない?




「全然恥ずかしくない。チャレンジしないほうが俺はカッコ悪いと思う。

まあ、失敗ってどっから失敗なのかって話ですけどね。

その人の価値観です。僕的には失敗はやりたいのにやらなかったことが失敗だから。やったらやった時点でマジで成功だから。

逆に言うと失敗の仕方がわからないですね今は。

改善毎日していくから。だから串カツ売れなかったらサクッと寿司に戻すし、っていうだけなんで。」




失敗を恐れない経営方針なんですね?




「でもその分、僕は、みんなのためにすごいやりますよ。やる時は寝ないです。

みんなのために。

逆にみんなも時には朝の5時くらいまでがっつり話し込んでより良いお店づくりに取り組んできた人たちなんで。

これからも仕掛けていきますよ!」


石川英治さん


 

独自の経営スタイルを実践し大成功を治める石川さん。

その成功は集客数や売上といった話だけでは語れないようです。

スタッフの仲間たちと一緒に作り出していくやりがいを感じる働き方。それが実現され充足感みなぎる現場。そんな現場だからこそ生み出されるローカルの人たちを魅了する極上のメニュー、そして集まるお客さんの胃袋だけでなく気持ちまでハッピーにするサービス。

働くことが自分を充実させ、さらには人(お客さん)のためにもなっている。

それは、お店に関わるスタッフのみなさん、そしてお客さんの溢れんばかりの笑顔に如実に表れています。

このサスティナブルな幸せの循環を生み出す働き方こそ、単なる数字だけでは測れないベネフィットであり、石川さんの経営の柱となっているようです。

日々刻々と変わっていく時代の波を読み取り、自分にとって最高の波を選び取り、まわりの人たちを魅了する美しいライディングをキメる。

“波乗り起業家”石川さんの経営スタイルは正に最高に心地良いサーフィンのよう。

近々、オープンを予定している日本支店も話題になることは間違いないでしょう。

石川さんが挑む次なるビッグウェーブに、これからも目が離せません。

Profile

ELCA HOUSE PTY LTD CEO/エグゼクティブ・プロデューサー

石川英治さん

ELCA HOUSE PTY LTD CEO/エグゼクティブ・プロデューサー

石川英治さん

1980年生まれ 

2004年から2011年までムラサキスポーツ本社契約選手としてプロロングボーダーとして活躍。 その活動は選手だけに留まらずに雑誌の企画などにも参画し。無人島トリップや大型キャンピングカーでのカリフォルニア横断などの今までにないヒット企画を打ち出し数々の雑誌の紙面を賑わせる。

映像プロデューサーとしても伝説のロングボードムービー『十虎』シリーズを制作。TSUTAYAと契約するほどの大ヒット作品となる。

2012年に家族と共にオーストラリアに移住。現地でフードカンパニーELCA HOUSE(エルカハウス)を立ち上げ、3年で3店舗の大繁盛店を育て上げる。


モットーは 、『そこにあるなら、それを壊そう』『そこにないなら、それを創ろう』。